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Seminar
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[物性研談話会]
共鳴軟X線散乱で探る新しい秩序構造
標題: 共鳴軟X線散乱で探る新しい秩序構造
日時: 2014年7月17日(木)  午後4:00~午後5:00
場所: 物性研究所本館6階 大講義室(A632)  
講師: 和達 大樹 氏
所属: 東京大学物性研究所
要旨:  遷移金属酸化物は高温超伝導、巨大磁気抵抗、金属絶縁体転移などの興味深い性質のために、盛んに研究されてきた。これらの多彩な性質の背景には多くの場合 電荷/スピン/軌道の秩序現象が見られ、秩序状態を実験的に直接観測することが近年の物性物理学のテーマとなってきた。
 共鳴軟X線散乱は最近急速に発展してきた実験手法であり、遷移金属の2pから3dへの吸収端のエネルギーのX線を用いて回折実験を行うことで、3d電子の軌道や磁気の情報を直接得ることができる。通常のX線散乱では強度の弱い磁気の情報が得られること、大きな共鳴により中性子散乱に比べ試料の体積がはるかに小さくても有効であるなど、これまでの散乱のデメリットを大きく克服した手法である。本講演では、この新実験手法により解明された新しい秩序構造について紹介する。特に、マンガン酸化物薄膜で観測されたマルチフェロイック性をもたらす磁気構造や、コバルト酸化物微小単結晶で観測された多くの磁気周期の共存「悪魔の階段」について示す予定である。
 この実験手法はSACLAなどのX線自由電子レーザー(XFEL)との相性がよく、赤外やテラヘルツレーザーによる励起下でのポンププローブ測定を行うことができる。このような時間分解型測定の現状と今後の展望についても述べたい。

【講師紹介】
 和達大樹所員は、遷移金属酸化物の光電子分光による電子状態研究で博士号を取得されたのち、放射光を用いた新しい実験手法である共鳴軟X線散乱に取り組まれています。特に、共鳴軟X線散乱により、これまで見られていなかった新しい磁気構造の観測に成功されました。このたび極限コヒーレント光科学研究センターの所員として着任され、SACLAなどのX線自由電子レーザーを用いた時間分解型散乱・回折の測定を目指しておられます。
関係所員: 野口 博司 (内線:63265)、山下 穣 (内線:63350)